ゲリラ豪雨の増加によって水害被害も増加

近年、東京を中心とした都⼼部では地球温暖化やヒートアイランド現象の影響から、“ゲリラ豪雨”と呼ばれる⼀局集中で雨が降るケースが頻発しています。そのため、洪水などの水害被害を受ける地域が続出し、問題視されています。今後注文住宅を建てる際には、そうした水害の危険性も事前に調査しておくことが重要です。

近年、ゲリラ豪雨という言葉がニュースなどで頻繁に報じられていますが、この言葉が最初に登場したのは全国で局地的豪雨が記録された2008年でした。その年以降、この異常気象は日本列島で猛威をふるい続けています。水害の恐ろしさは、あっという間に河川などの水量が増えてしまうことです。そのため、大雨・洪水警報を見た際には避難がすでに遅れており、水害事故に巻き込まれてしまうというケースが頻発しています。ゲリラ豪雨は事前予測が立ちにくい点も難点なのです。

ゲリラ豪雨が都内で頻発している原因としては、ヒートアイランド現象が関係しているとの見方があります。ヒートアイランド現象とは、エアコンの使用や排気ガス、アスファルトの増加などの原因で都心の気温が急上昇する現象です。上昇気流が生じることによって、東京湾から湿った空気が集められ積乱雲が発達。その結果、ゲリラ豪雨になると考えられています。気象庁のデータによれば、豪雨が増えているのは全国の中でも東京都が著しく、過去100年で約50%も増加しています。そのため、都内では豪雨対策が必須なのです。

ハザードマップで地域の被害の危険性をチェック

ヒートアイランド化が進む昨今の日本において、ゲリラ豪雨を回避することは不可能なので、起きたときに備えた対策に講じることが大切です。特にまだ家を購入する前であれば、土地選びをより慎重を期すべきでしょう。東京都では地震や火災、洪水といった災害について、予想被害の範囲および程度を地図上に色分けして示し、さらに災害発生時の避難経路や避難先などをまとめた「ハザードマップ」を公表しています。

そのため、大量の雨が降った場合を想定してある程度の水害予想を立てることができるのです。東京都の23区・25市(1市4町村をのぞく区市町村)では、詳細な洪水ハザードマップを公開しているので、現在、注文住宅を建てることを検討している土地があるとしたら、一度ハザードマップを確認してみましょう。公表されている内容は以下の3つです。

【ハザードマップで公表されている水害被害に備えた情報】

  • 大雨時に危険な場所(浸水の予想される区域)
  • 危険の程度(想定される浸水深)
  • 避難場所、避難経路等の災害対応のための情報

東京には大きな河川がいくつか流れていますが、それらの周辺地域が水害被害に遭いやすいことは明白です。市区町村ごとのデータの他にも、大雨で氾濫する可能性のある河川ごとに、被害想定地区ごとのハザードマップも作成されています。もし建設予定地の近くに大きな河川がある場合は、市区町村のハザードマップに加え、以下の河川におけるハザードマップも確認しておきましょう。

【東京の各河川におけるハザードマップ】

  • 荒川水域ハザードマップ
  • 浅川水域ハザードマップ(八王子・日野市・多摩市)
  • 江戸川水域ハザードマップ(足立区・葛飾区・江戸川区)
  • 利根川水域ハザードマップ(足立区・江戸川区)
  • 中川・綾瀬川水域ハザードマップ(足立区・葛飾区)
  • 芝川・新芝川水域ハザードマップ(足立区)

参照元:東京都建設局ホームページ

台風や大雨の際は浸水しないための対策を

ゲリラ豪雨や台風などの自然災害は、いつ発生してもおかしくありません。そして、それぞれの地域ごとにそうした災害が発生した際の危険度は変わってくるものです。その土地の災害危険度に関しては、あらかじめ予想を立てることができるので、危険度のレベルに応じた対策を講じることが重要になります。ハザートマップで水害の危険性を確認したうえで、どうすれば被害を最小限に留められるかを考えましょう。

水害における主な被害としては、「住宅に浸水する」「屋外のものが倒れる」「屋根・壁が損傷する」「ライフラインが途絶する」などが考えられます。その中でもより被害が顕著なのが、いわずもがな浸水です。溢れ出た水が自宅の中に入り込まないように、家を建てる前から対策に講じることが重要となります。浸水対策としては、次のような点を補強しておくと安心です。

【浸水被害を最小限に留めるための事前対策】

  • 盛り土をして建物を高い敷地の上に建てる
  • 基礎を高くして建物の床を土地よりも高くする
  • リビングなど居住スペースは2階以上に配置する
  • 塀や建物に防水性建材を採用する

いつ起こりうるかわからない水害なだけに、注文住宅を建てる際は被害の影響を考慮しましょう。建設前からご自身のエリアに合った対策を練っておくことが、未曾有の水害に遭った際でも被害を最小限に留めるための術なのです。