住み始めてから気になり出す生活音とは
注文住宅を新築し、実際に住んでみてから気になることの一つに「音」の問題が挙げられます。家庭には、室内での足音、話し声、テレビの音、食器洗い機や洗濯機の音、車の出入りの音など、さまざまな音の発生源があります。最低限の生活音は仕方ありませんが、意識して対策していないと自宅内の声や音が周辺に漏れることで近隣トラブルに発展することもあるのです。
家を建てるときに注意したいのは、自分たちの生活音の問題と、それが外に漏れることによる近隣住民との問題との2点があります。自宅の生活音は、間取り一つで騒音化を防げます。たとえば、リビングやお風呂など家族が話をすることが多い場所は道路や隣家側に設置しない、リビングの上はバタバタ足音がうるさい子ども部屋にしないで寝室にする、寝室は車の往来が激しい道路側ではなく建物の奥の静かなところにするなど、設計へのひと工夫で静かな住環境の実現も可能です。
一方で自宅内での音の響きも気になりますが、外部にも影響を与えている場合の方がより改善すべき問題といえます。後々に防音工事を行うのは金銭的にも負担が大きいので、家を建てる際にはあらかじめ音の伝わり方を知っておき、そのうえで防音対策を講じるようにしましょう。
音が原因で近隣トラブルにまで発展するケースも
近隣トラブルの原因としてよくフィーチャーされるのが騒音問題です。マンションやアパートなどの集合住宅での問題だと捉えがちですが、実は戸建住宅でも隣家との音に関するトラブルは少なくありません。主なトラブル内容としては、次のようなケースが挙げられます。
【戸建住宅でも騒音トラブルに発展するケース】
- 早朝深夜など、玄関や窓の開け閉めの音がうるさい
- ピアノや音楽の音がズンズン響く
- 子どもが騒ぐ声や、親が叱る声が大きくてうるさい
- 飼っている犬が無駄吠えする
- 友人を呼んでパーティしているときの声がうるさい
- テレビを深夜まで大音量で見ている
生活音の問題が難しいのは、自宅が静かであればあるほど隣家の音が気になったり、生活リズムが違うことで生活音が騒音になったりしてしまうことです。たまになら揉めることはないかもしれませんが、家は毎日生活する場なので、騒音が度重なると精神的な負担が大きくなります。そうなると相手によっては当事者間の話し合いだけでは済まず、警察沙汰になることもしばしば……。大きな問題に発展しないように事前に対策を練っておく必要があるでしょう。
家を建てる際に防音対策を行うのがベスト
建ててからでは音の問題の改善は難しいため、家を設計する時点で音対策を考えておきましょう。子どもの足音や洗濯機、換気扇、排水音、ピアノやテレビの置き場所など騒音の発生源を挙げてみて、リビングや寝室など静かに過ごしたい空間から離すように設計します。
どうしても設計で騒音が回避できないなら、ドアや仕切りで防音することも。
たとえば、洗濯機の音が気になるなら、浴室のドアは遮音性の高い建具を使うようにするだけでも音の感じ方が大きく変わってきます。
近隣住民との騒音トラブルを防ぐなら、隣家に接する場所にはリビングや楽器のある部屋、子ども部屋など音の発生源になる部屋を置かないようにしましょう。
置く場合は、防音や遮音に優れた窓やカーテンを選択して、音が外に漏れないような工夫をすることが大切です。近所の人の生活パターンや住まいの間取りを事前に把握しておくことも重要で、ドアや窓の開け閉めは子どもも含めて家族で注意するようにし、窓を開け払って掃除機をかけるのは昼間にするなど日々の生活を少し工夫するだけでも、隣家とよい関係を保てます。
住んでから音によるストレスを溜めるくらいなら、未然に防音の対策を行いましょう。特に隣家との関係では、大きな問題になる前に未然に回避することがポイント。防音効果を高めるのは他の人のためだけではなく、自宅のプライバシーも守れて外の音も遮音できるので、自分の家を静かな環境に置くこともできます。一から設計できるのが注文住宅だからこそ、音にも気を配った住宅の設計も十分可能です。これから新居を建てようとしている方は、防音対策にも“目と耳”を向けてみましょう。