なぜ土地の液状化が起きてしまうのか
土地選びの際にチェックすべき地域危険度 のコラムでもご紹介しましたが、日本は世界の地震の1/5が発生する“地震大国“です。
そのため、多くの人は家を建てる際に、地震に強いかどうかを気にするはずです。
ただ、家の構造が地震に強いからといって、単純にイコールで建物が損壊しないとはいいきれないことをご存知でしょうか。
なぜならばどれだけ強度の高い家を建てたとしても、真下で支える土地が崩れてしまったら元も子もないからです。
そうした地盤沈下をもたらす原因の一つとして、土地の液状化が挙げられます。
液状化とは土地の粒子に含まれている水分(間隙水)が地震の振動によって地表に上昇し、地盤が沈下してしまう現象をいいます。通常は問題なく結合している土の粒子が、地震によって結合が崩されると粒子と間隙水のバランスが崩れ、泥水のような状態に。その後さらに進むと間隙水だけが地表にあふれだし、砂質が沈下します。これが液状化のメカニズムです。
2011年に発生した東日本大震災でも道路の液状化が問題になりましたが、液状化は戸建て住宅の敷地でも起こり得ます。
液状化の恐ろしいところは、建物が倒壊しなくても傾いてしまう可能性がある点です。
建物が地震の揺れで損壊して倒れるのではなく、建っている地盤が崩れて地中にめりこむように倒れてしまいます。
いくら耐震性能の優れた建物を建てても、土地の液状化が起これば想定外の被害を受けることにもつながりかねません。
液状化してしまう危険度の高いエリアとは
液状化してしまう土地には一定の傾向があります。
危険性が高い土地を見極めるためにも、まずはどんな条件だと液状化しやすいのかを知っておくことが重要です。
家の土台を支える土地にはさまざまなタイプがあり、強度もまちまち。
特に砂と水を多く含む砂質地盤では、液状化が起こりやすいのです。
一般に液状化になりやすい地盤は、砂地盤で地下水位が10cm以内の水分が多い土地が該当します。
つまり、液状化しやすい土地とは、「砂質の土」で「地下水位が高い」場所ということになります。
たとえば、海岸の埋め立て地や近くを川が流れている場所、かつて川が流れていたところも要注意です。
このような土地は洪水などの災害による被害も懸念されるので併せて注意しましょう。
特に梅雨時や台風接近時などの大雨が降る時期などは雨量の増加で土地が緩む可能性があります。
また、同様に泥沼地も液状化の危険性が高い土地です。
地名からもある程度このような土地を推測することができます。
たとえば地名に○池、○川、○沢や○田などが含まれる場所は、かつて池や川があった、昔は田んぼだった地域の名残かもしれません。
それだけにそれらの土地は地下水位が高い可能性があります。
土地の強度を知るには、土地の現況だけでなく歴史も知っておくこともまた大切です。
地盤が弱い地域に住む際は地盤改良を行いましょう
四方を海で囲まれ、山や河川が多い日本では、地盤が強い土地ばかりではありません。
災害対策の面を考慮しても十分な強度を持つ土地を選ぶなら、なるべく液状化の危険が少ないエリアを選ぶことが先決です。
全国各地の液状化ハザードマップ(※)を紹介している企業もあるので、土地選びの際に参考にしましょう。
また、液状化対策としては「地盤改良工事をする」「堅固な基礎を作る」といった方法がいくつかあります。
軟弱地盤では地震の揺れ幅が大きくなり、特に木造住宅は揺れを建物が受け止めて耐える造りになっているため、揺れ幅が余計に大きくなる「共鳴現象」が起こります。
そのため、地震の多い日本において、木造住宅を検討されているのであれば地盤の強化が欠かせません。
液状化の不安がある土地をどうしても気に入った際は、地盤改良を検討しましょう。
まずは周辺環境や地盤調査などを行い、地盤改良の要不要を判断しなければいけません。
注文住宅を建てるうえで液状化の不安を少しでも解消するためには、その土地に適した地盤づくりを行うことが不可欠です。