明るくするだけではない照明の役割とは
暮らしにおいて欠かせない設備の一つに照明が挙げられます。日が落ちて辺りが暗くなった夜に明かりを灯すという重要な役割を担っています。
ただ、照明の役割は単純に部屋を明るくするだけに留まらないことをご存知でしょうか。たとえば読書や勉強のときは明るめに、リラックスしたいときは暗めに、そして来客の際に華やかさ演出したいときは、補助照明や間接照明を使うなど、室内の雰囲気を自在にコントロールすることができるのです。
部屋の広さや用途、壁の色や素材などにマッチした照明は異なるので、注文住宅を建てる際には暮らし方や部屋に置きたいインテリアに合った照明器具を選択するようにしましょう。効果的に配置することで、家の魅力を最大限に高めてくれます。
近年ではさまざまな形や演出方法のある照明があるので、家を充実させるためにも照明の工夫を怠らないことが大切です。
また、部屋の印象を大きく左右するのは明るさだけではなく、照明の色も重要なファクターとなります。照明の色の種類は「曇天空の光に近い明るさの昼光色」「白熱電球に近いオレンジ色の光が特徴の電球色」「昼光色と電球色の中間の昼白色」の3つがあるので、お好みに合わせて意識して使い分けることをおすすめします。
事前に部屋の明るさの目安を把握しておきましょう
照明には色々な役割があることは上述させていただきましたが、主たる役割はもちろん部屋に必要な明るさをもたらすことです。その空間に必要な明るさというものは、部屋の広さや天井の高さ、壁の素材や色、全体のつくりなどによって異なります。そのため、部屋や暮らし方に合った適切な明るさを見極めることは大切です。一般的な部屋の広さとワット数の目安は以下の通りです。
白熱灯(W) | 蛍光灯(W) | |
4.5~6畳 | 100~180 | 40~65 |
6~8畳 | 180~240 | 65~80 |
8~10畳 | 240~400 | 80~100 |
10~12畳 | 400~ | 100~120 |
生活に必要な照明器具は、蛍光灯で1畳辺り約10~15W、白熱灯で1畳辺り約30~40Wになります。ただし、ワット数は光源の消費電力を表したものなので、実際の明るさと異なる場合もあります。LED照明の場合は、蛍光灯や電球と比べて消費電力が少ないため、Wが小さく、明かさの基準となるのが「lm」という単位です。lmは光源からでてくる光の量であり、数値が高ければ高いほど、明るいことを意味します。
部屋の雰囲気を演出する補助照明・間接照明
基本的な明るさの目安を把握できたら、部屋の使用用途や暮らし方に合った明るさを確保することが大切です。たとえばキッチンでは包丁や火を使うため、手元の明るさがあるとうれしいでしょう。
その場合は補助照明を併用すると便利さが一気に増します。
また、リビングなどで雰囲気を演出したいときには、複数の照明を使い分ける多灯照明が有効です。全体を明るくする主照明と、部分的に明かりを灯す補助照明や間接照明を組み合わせることによって、照明範囲を変えた空間演出が楽しめます。
特に間接照明は光を天井や壁に反射させて利用するため、全体に柔らかな印象を与えることができます。照明の配置、数、種類によって雰囲気は大きく変わるので、家を建てる際は照明についてもこだわりを持って設計することがおすすめです。
部屋を明るく照らす、照明機器はそこに住まう人々の心まで明るくする“不思議な魔力”があります。選択次第で部屋の印象を大きく変えられるので、とことんこだわり抜いてみてはいかがでしょうか。
家を建てた後に追加することもできますが、全体のバランスを見極めることも重要です。後付けで照明を設置することでバランスを崩すくらいなら、注文住宅を建てる際にあらかじめ必要な照明をセッティングしておきましょう。
暮らしに合った電気スイッチとコンセントの配置使い勝手を考えて配置することが大切
わが家を温かく照らす明かり、冷蔵庫、洗濯機、掃除機などの家電――人々の暮らしにおいて、照明や電化製品はもはや欠くことができない存在です。
ただ、照明や電化製品もただ備わっていればいいというわけではなく、便利で快適な生活を送るうえではそれらの使い勝手がいいことが大前提になります。
無計画に照明の電源を入れる電気スイッチや供給源であるコンセントを配置すると、それらの機能や特性を十分に活かしきれず、使い勝手が悪くなる可能性があるのです。
しかし、家を建てる際にデザインや素材についてはこだわりを見せたり、気を遣ったりする方は多いですが、電気スイッチやコンセントの配置まで気が回らない方も多く見受けられます。
そのため、実際に住み始めてから「使い勝手が悪い」「家具が置けない」「コンセントが足りない」などの不自由さを感じてしまうといったケースも珍しくありません。
そのため、注文住宅を建てる際には、完成した住まいでの暮らしをイメージして電気スイッチやコンセントの配置を考えることが大切です。
ただ、家を建てる前に“図面とにらめっこ”しているだけでは、どこに最適な配置ポイントであるかはなかなか見えてきません。
したがって、事前に配置のポイントを押さえておきつつ、自身の暮らしを想定して“ベストのポジション”を決める必要があります。
あったら便利な電気スイッチとコンセントの位置
では実際に電気スイッチとコンセントがどのように配置されていると便利だと感じるのでしょうか。
まず電気スイッチに関してのポイントは「高さ」です。ちょうどいい高さを選択することでずいぶんと操作のしやすさが変わります。一般には110~120cmが最適な高さだといわれています。
ただ、「子どもには高くて届かないのでは?」と心配する方もいるかもしれませんが、その点を考慮する必要はありません。
なぜなら、自分で電気のオンオフをできるようになる4~5歳の子ならすでに手を伸ばせば届く高さだからです。
【対象者別、最適な電気スイッチの高さ】
- 一般の方……110~120cm
- 高齢者の方……100~110cm
- 車イスの方……90~100cm
- 腕を高く上げられない方……80~90cm
電気スイッチ以上に配置ポイントが重要になるのが、コンセントです。
家で使用する電化製品の数が昔より増えていることもあり、以前の住宅よりもコンセントを多く設置する傾向にあります。
設置場所については根拠なしに決めるのではなく、その部屋で使うであろう電気機器をあらかじめリストアップしたうえで考えることが大切です。
たとえば以下のように何に使用するかをシミュレーションできていれば、無駄な配置になったり、必要な箇所に配置されていなかったりという事態を防げます。
【コンセントの配置と電気機器の使用用途の例】
- 玄関ドアの外側すぐ脇……クリスマスツリーなど家の外の装飾用
- 玄関カウンター上……玄関における装飾用ランプの設置
- 洗面台の収納内部……ドライヤー、ひげそり、電動歯ブラシ用
- 洗面所やトイレの中の床近……暖房機器、ウォシュレットなどの設置
- 洗面所の天井近く……壁付けタイプの扇風機の設置
- 押し入れやクローゼットの収納……充電タイプの掃除機の内部充電用
- 書斎・子ども部屋……PCの使用を想定して2倍のコンセントを配置
- キッチンシンク上、吊り戸棚の下部……ハンドミキサーの使用
- ダイニングテーブル付近……ホットプレートや卓上電気鍋の使用
- リビングのミニカウンター付近……デジカメ、子機、スマートフォンの充電
後からでも配置を決められる点が注文住宅のメリット
「必要な箇所にコンセントがなくタコ足配線になった」「実際に暮らしてみたら別の配置の方が良かったかも」など、住まい勝手を意識せずに電気スイッチとコンセントの配置を決めてしまったがゆえに後悔している方も決して少なくはありません。
ただ、実際に生活しているわけではないので、家が建つ前に図面上だけで電気スイッチやコンセントの配置を判断するのであれば、まさに“机上の空論”です。
暮らしのイメージと実際の生活においてズレを少しでもなくすためには、「上棟後の現場で入念に打ち合わせすること」が重要になります。
パッケージで家の型が決まっている建売住宅とは異なり、注文住宅では上棟後の現場で実際の暮らしに当てはめつつ電気スイッチとコンセントの配置を決めることができます。
それが自由設計である注文住宅の強みだといえるでしょう。
暮らしにおいて照明と電化製品はなくてはならないものであり、明かりをつけるための電気スイッチと電力の供給源となるコンセントも必要不可欠。
そのため、あらかじめ間取りや家具を想定してスイッチやコンセントの配置場所をある程度、考えておくことをおすすめします。
そして、上棟後の現場で設計士の方と再確認し、最終調整を行いましょう。
家の中にアイディアが彩る造り付け家具注文住宅だからこそ造り付け家具の設置を
造り付け家具という言葉をご存知ですか? 一般に市販されている家具と異なり、主に収納部分などに建物の空間に合わせてつくり、その場所に固定する家具のことを指します。既製品の家具と同様の機能を果たしますが、異なる点は住宅とセットになっていること――つまり、家を建てる段階ですでに家具が備わっているということです。
もし注文住宅をご検討している場合であれば、造り付け家具を家の中の各所に設計しておくと、後の暮らしが非常に便利になるでしょう。家と一緒につくるため、自分の好きな素材やデザインを内壁などと合わせることができ、家の中の統一感アップも夢ではありません。
造り付け家具の最大の魅力は、その機能性です。家のつくりに合わせた収納を実現できるのはもちろんのこと、備え付けのため場所が固定されるため、地震などの震災が起こった際にも家具が倒れる心配がありません。スタイリッシュでなおかつ、安全性も確保できるのは造り付け家具ならではといえるでしょう。ただ、造り付け家具はフルオーダーメイドとなるため、コストがかさむ点には注意が必要です。お財布事情を考慮したうえで、無理のない設計を行いましょう。
「場所」と「目的」に合わせてつくれる造り付け家具
注文住宅と非常に相性のいい造り付け家具ですが、設置を決める際にどのような点に着目すべきなのでしょうか。特に重要な点が2つあり、それは「場所」と「目的」に合わせてつくるということです。
造り付け家具は、設置したい「場所」の大きさや形に合わせてつくることができるのが、市販の既製品の家具とはもっとも異なるポイントです。壁の長さや部屋の広さに対して相応な大きさで、無駄な隙間も残さない寸法設定でのデザインが可能です。場所ありきで考えるため、ピンポイントで家にマッチする間違いのない設計を行えます。
また、収納物の大きさや使い勝手などの「目的」に合わせて形やサイズを決められる点も造り付け家具ならではのメリットです。既製家具とは異なり、規格寸法がないのでサイズ感はまさに自由自在。一般の家具よりも大きくも小さくもつくれます。さらにレールや丁番などさまざまな家具金物を自在に用いることで、限られたスペース内で必要な機能を持たせることも可能です。