回る回る

ライフスタイルの変化に対応できる可変なつくり

形あるものはそのままの状態を常に保ち続けることは不可能です。それは家においても例外ではありません。経年によって傷みが発生したり、破損箇所が出てきたりすることは当然のことだといえます。
また、その家に住まう人々のライフスタイルの変化によって、求められるものも変わってきます。つまり、10年、20年と年月が過ぎたときに以前と何一つ変わらぬ暮らしはできないのであり、人も家も歳月の経過によって生じる変化に対応する必要があります。

時間が経つことによって家の経年劣化が起こり、暮らす人たちのライフステージも変化していきます。どのライフステージにもマッチする万能の家を建てることは難しいので、具体的に間取りや設備の変更が必要となった時点で“見直ししやすいつくり”にしておくことが大切です。
つまり、将来のテコ入れを見越した“可変性のあるつくり”にすることで、家の構造を大きく変更することなくリフォームを行えます。

20年、30年経過した際に、経年劣化やライフスタイルの変化からリフォームの必要性はでてきます。構造から大きく変えるリノベーションや改築などの方法もありますが、大きな変化には少なくない費用がかかるものです。
変化に対応した必要最低限のリフォームを行うためには、注文住宅を設計するタイミングで未来を想定しておくことが重要になるでしょう。

予言

水回りを下屋に設置すると改修の時がラクに

住宅の経年劣化を考えた際に、最初にリフォームの必要性が生じやすいのがキッチン、お風呂、トイレ、洗面所などの水回りです。水回りは機器の故障や老朽化、湿気による建物の傷みが起こりやすく、外壁塗装と同様に早い段階での改善が必要になります。

そのうえ、水回りは配管や防水の問題があるため、リフォームを行う場合は大掛かりになることがほとんどです。家のつくりの根底から変える大規模なリフォームが必要になることも珍しくないので、そうした傷みやすい水回りはあらかじめ母屋と分けて“下屋に集約させる”というのも一つのアイデアといえるでしょう。

下屋とは、メインの屋根より一段下げた位置に取り付けられた片流屋根、またはその下にある空間のことを指します。建物のメインとなる母屋と構造的に分けることもできるので、位置変更がしづらい水回りを下屋に集中させることで、それぞれの必要な時期に合わせて別々にリフォームを行うことができます。必要性に応じた改修が可能になるため、下屋を設ける場合はキッチン、お風呂、トイレ、洗面所などを選択して配置することもあります。

子どものライフスタイルに合わせた住まいづくりを

また、家庭において最大の変化ともいえるのが“子どもの成長”です。親がすべての面倒を見る必要がある幼少期から、一人の時間・空間を大切にしたいと考え始める思春期、そしてついに親元を離れて自身の道を踏み出す独立期と、約20~30年の間に子どもを取り巻く状況は変化していくものです。

子どもの成長は必然的なものなので、初期は開放的な広々とした大きな部屋だけど、建具や簡易仕切りで部屋を分けられるつくりにしておくと後々がラクになるでしょう。将来的に子どもの人数が増えたとしても独立した部屋を与えることができ、成長度合いに合わせた暮らしを実現することができるでしょう。

人間が将来に向けてのプランを練るように、住宅においても将来の変化を加味したつくりにすることも一つの手段だといえます。状況が変わったときに初めて考えるのも、それは一つの方法ですが、あらかじめ将来像を想定した注文住宅を建てておくことで、リフォームの際の手間や費用を少なくすることができるかもしれません。

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