長期優良住宅の認定の条件とは
人生最大の買い物と評されることが多いマイホームの購入。最低でも何千万単位のお金が必要となるだけに、その家に“長く安心して暮らせること”は購入者にとって必須の条件であるともいえます。そして、住宅を長期にわたり使い続けるという考え方は、“国レベル”でも強まってきています。平成21年6月に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」は、いわば丈夫で長持ちする家に対しての優遇政策です。
長期にわたって暮らせる住宅をつくることで、解体による廃棄物を減らし、環境負荷も軽減。そして、建て替えによる国民経済全体への負担を軽くすることで、より豊かな暮らしを手に入れる――そんな環境にも国民経済にもよい影響を与える長持ちする家を「長期優良住宅」として認定しているのです。世代を超えて住み継げる家を建てることで、資産価値を高めることを狙いとしています。
丈夫で長持ちし、住む人の変化に対応でき、長期にわたり住み続けるための計画が整っていることが長期優良住宅には求められますが、それらの要素を含むために以下の10つの条件をクリアすることが必要です。
【長期優良住宅認定のための10つの条件】
- 耐震性に優れている
- 省エネルギー性が確保されている
- 劣化対策が講じられている
- 維持管理更新の容易性がある
- ライフスタイルの変化に応じた可変性がある
- バリアフリー化に対応できるつくりである
- 十分な住戸面積が確保されている
- 維持保全計画が策定されている
- 住宅履歴情報の整理がなされている
- 居住環境が整っている
減税による金銭的なメリットが大きい長期優良住宅
長期優良住宅は、上記で説明した長期間にわたり安心して暮らせることだけがメリットではありません。長期優良住宅に認定されることによって税制優遇を実現することもできます。東京都主税局の発表 によると、平成30年3月31日までに認長期優良住宅を新築した場合、申告は必須ですが、固定資産税および不動産取得税の軽減が受けられるのです。
また、住宅ローンを組む場合は所得税も優遇されます。住宅ローン減税が一般住宅の最大控除額が500万円のところを、長期優良住宅では600万円に。
住宅ローン減税制度を活用しない方を対象とした投資減税型の特別控除もあり、性能強化費用の10%相当額(最大控除額は100万円)がその年の所得税から控除されます。
その他にも住宅用家屋の所有権保存登記などにかかる税率が一般住宅特例より引き下げられる登録免許税の優遇もあるなど、減税による金銭的なメリットが多い点も長期優良住宅の魅力です。
定期的な建物の点検を行うことが重要
丈夫で長持ちする家であり、さらに減税の優遇も受けられる長期優良住宅ですが、注意すべき点もあります。それは長期優良住宅を建てたからといって、その先ずっと安心・安全な状態を保てるわけではないということです。
長期優良住宅は丈夫で長持ちする構造になってはいるのですが、当然、一般の住宅と同様に経年劣化は避けられません。そのため、長期優良住宅を購入もしくは建築して所有してから5年・10年などのタイミングで定期的な点検が必要です。
住宅診断・ホームインスペクションを定期的に実施することによって、劣化をいち早く察知し、適切な対応を行えます。長期にわたり人が暮らせるようになっている設計に対して、メンテナンス面を強化することによって、家の耐性は盤石のものとなります。
丈夫で長持ちする家を保つためにも、定期的に点検を行いましょう。特に第三者の住宅診断会社に点検してもらうことをおすすめします。
世代を超えた安心の暮らしを実現する意味でも、長期優良住宅を建てることは非常に意義深いことですが、「長期優良住宅を建てさえすれば、安全で品質の良い住宅を保てる」と勘違いされている方も少なからずいるようです。
ただ、長期優良住宅も人間や一般の住宅と同様に“年を取ります”。そのため、定期的なケアで労ってあげることがその家に長く住むための秘訣となるでしょう。