注文住宅において重要な土地選び
“夢のマイホーム”という表現があるように、持ち家を所有することに憧れを抱いている方は多く存在します。中でも設計の自由度が高い注文住宅は、理想の住まいをカタチにするための最適な手法です。「外観は純和風がいい」「リビングは吹き抜けにしたい」など、家へのこだわりが強い場合は、注文住宅をオーダーすることをおすすめします。
建物の造りにとこんとんこだわれる注文住宅ですが、建てるうえで“要検討”すべき事項があります。それは土地です。理想の住まいを実現するためには、それ相応のスペースを必要とします。そのため、「要望を叶えられる広さの土地」を確保することが不可欠なのです。
条件に合った土地を探すのであれば、郊外よりも都心の方が困難だといえるでしょう。特に繁華街から近く、閑静な住宅地のある世田谷区、杉並区、新宿区、中野区、渋谷区などのエリアは総じて高い人気を誇ります。それゆえに土地の値段も高く、ある程度の広さを求めるとしたら多くの資金が必要となるのです。
限られた広さの土地に建てる「狭小住宅」
予算の都合で郊外に家を建てる方もいれば、仕事や家庭の事情からどうしても都心部を選ばざるを得ない方もいます。「都心部でも広々とした快適な家に住みたい。だけどお金はない……」というジレンマに多くの方が悩まされてきたことでしょう。
ただ、都心の狭小地を選んだからといって理想の住まいを実現できないわけではありません。設計の工夫によって限られた敷地を有効活用した家を建てることで、“空間を生み出す”ことはできるのです。そんな国土が狭い日本ならではのアイデアに基づき、狭い土地に建てられた家を「狭小住宅」といいます。
都心部では敷地面積が狭いだけでなく、変形地や密集地という家を建てるうえで難しい条件の土地は数多く存在します。しかし、設計においてさまざまな趣向を凝らすことによって限られた土地を最大限に活用した、広々空間の家を建てることも可能なのです。
「狭小住宅」を建てるための3つの空間利用法
では実際に狭小地に注文住宅を建てる場合、どんな工夫が用いられているのかでしょうか。空間利用の考え方についていくつかご紹介します。
空間利用法その1:上下にフロアを増やす
土地の広さが限定されている場合、スペースを確保するためには“高さ”を増すことが有効です。3階建てや4階建てにしたり、地下に部屋をつくったりするなど上下にフロアを追加することでスペースの狭さをカバーできます。
空間利用法その2:仕切りを減らして視覚効果を
面積は同じだとしても場所によっては広く感じたり、狭く思えたりすることがあります。それは“視覚効果”の影響だといえます。人間は仕切りがない部屋や吹き抜けのリビングなどにその空間以上の広さを感じるものです。遠くまで視線が届き、奥行きがあるつくりにすることで、狭いスペースでもゆとりを実感できます。また、天井の一部を折上天井にするなど、工夫次第で心地よく感じる空間を造ることが可能です。
空間利用法その3:多目的スペースを設置する
通常の部屋は寝室、居間、子ども部屋など、それぞれの役割に基づいた構造になっています。ただ、この固定概念を取り除くとことによって、同じ部屋でも2つ、3つの役割を持つ多目的スペースをつくれるのです。たとえば可動式の本棚を設置することで普段は物置でも、読書の際にはお父さんの書斎に早変わり。また、お客さんと通すリビングに収納式の机を設置することで、子供が宿題をしたり、お母さんがアイロンかけをしたりするなど、さまざまなシーンに活用できます。
上記のように注文住宅なら、狭小地であってもスペースを活用した理想に近い家をつくれます。都心部ながら建物の造りにこだわりたい方には、趣向を凝らした狭小住宅がおすすめです。