昼間・夜間人口の違いから見る居住エリアの選び方

東京都の昼間・夜間人口の比率

皆さんは「昼間人口」「夜間人口」という言葉を耳にしたことはありますか? 人は生活をするうえでそれぞれの活動エリアがありますが、学校や会社など日中の多くの時間を過ごす場所が居住している自治体と異なるケースは珍しくありません。つまり、その地に暮らす人がたくさんいたとしても、昼間は都心部に多くの人が働きにでているため、その地域で見かける人の数が少ないということがあります。

この昼夜での人口の違いを示すのが「昼間人口」と「夜間人口」です。「昼間人口」は主に仕事など昼間のメインで活動している拠点を表します。一方の「夜間人口」は、国勢調査による自治体別の人口調査の数値が該当。その地区に住んでいる人口の実数値であるといえるでしょう。

平成22年に行われた国勢調査によると、東京都の昼間人口は15,576,130人、夜間人口は13,159,388人という数値が出ています。つまり東京都では昼夜で200万人以上の人口の違いがあるわけです。昼夜間人口比率(常住人口100人あたりの昼間人口の割合を示した数値)では、118.4人を記録するなど、他の地域から多くの人が集まるエリアであることがわかります。

東京多摩地区の“ベッドタウン”は昼間人口が少ない傾向に

東京都全体でみると昼間人口の方が多く、たくさんの人が集まってきているというデータが出ていますが、数値を伸ばしている大きな要因となっているのは、ビジネス街がある千代田区や中央区、港区という地域を中心とした特別区です。特に千代田区は昼夜人口比率が1,738.8人というとてつもない昼間人口の多さを誇ります。23区内では練馬区の82.1人がもっとも少ない数値であり、昼間は都心部に移動する人も多くいますが、昼間人口も平均して高い数値を保っているのが特徴です。

一方、多摩地区と呼ばれる23区外のエリアに目を向けるとまた同じ東京でも数値は大きく異なります。立川市が113.1人、武蔵野市が110.5人と昼間人口が夜間人口を上回っている地区もありますが、それ以外の地域は狛江市が74.9人、東大和市が79.4人、稲城市が79.6人、西東京市が80.0人、東久留米市が80.1人と80前後の数値も目立ちます。

そうした昼間人口の少ないエリアはいわゆる“ベッドタウン”と呼ばれている地域であり、都心に勤務している家庭がほとんどです。通勤が1時間以内で都心部まで出られるのでアクセスもよく、自然が多く残る静かな環境に住みたいという人が実際に多いということがデータでも見受けられます。

職住分離で充実のライフスタイルを

都心部で働きつつ、東京の中心地から離れた郊外に家を建てる方はたくさんいますが、そうした働くエリアと住むエリアが明確に異なることを「職住分離」といいます。仕事と私生活でまったく違うエリアで活動する際などに用いられますが、公私を明確に分けることができるため多くの方に選ばれているライフスタイルです。

特に結婚し、家庭を持ってからは家族が安心して暮らせる郊外よりの地域に住む方が多い傾向にあります。土地の値段が都心部より安いこともありますが、通勤時間が長くなってでも、子どもが伸び伸びと生活できる環境を優先する方が多いそうです。緑が溢れ、休みの日には子どもと一緒に遊べる環境が整っていることで、週末のリフレッシュにもつながります。公私ともにいい相乗効果が見込めるかもしれません。

文字通り仕事と家庭で2つの顔を持つ「職住分離」ですが、昼間と夜間で過ごす場所が違うことでライフスタイルの充実につながることでしょう。「若いうちは都心部に住みたい」と考えていたとしても、人生設計をするうえで郊外に出るという選択肢もきっと出てくるはずです。そんな時は各地域の昼夜間人口比率などを参考にし、より自分にとって暮らしやすいエリアを見つけることをおすすめします。