
東京のベッドタウンは多くの世帯が居住するエリア
幼少期をどこでどのように過ごすかはお子様の健やかな成長に大きな影響を与えます。「なるべく“いい環境”で子どもを育てたい」という方に対して、当コラムではおすすめの地域をご紹介していきます。子育てに向いている地域特集の第1弾は「西東京市・東久留米市」のエリアです。
西東京市と東久留米市は隣接する市であり、東京都の中央部に位置しています。西武線を利用することで23区内へのアクセスも良好のエリアであり、都心で働くサラリーマン家庭が生活の地として選択する“都内屈指のベッドタウン”でもあります。
東京でありながら自然が豊かな土地柄もまた有名。特に「落合川と南沢湧水群」が環境省による「平成の名水百選」に選ばれた東久留米市は、清らかな湧き水が流れる東京随一の水環境を誇っており、子どもが幼少期を過ごす環境としては最適といえます。
西東京市と東久留米市は、アクセス面などの便利さと自然環境の豊かさの双方のよさを兼ね備えているだけに、多くの“子育て世代”にとって暮らしやすい街なのです。

2001年に田無市と保谷市が合併してできた西東京市
東京多摩地域にある西東京市は、宿場町や商業の拠点として栄えた田無市と、江戸時代より農産物の供給地として発展した保谷市が2001年に合併して誕生しました。地理的には東京都の中央部に位置し、北は埼玉県新座市、南は武蔵野市と小金井市、東は練馬区、西は小平市と東久留米市に隣接しています。
特別区ではありませんが、電車で2、3駅ほど、車なら市内のどこからでも15分程度で23区内に移動できます。そのため、市民の多くは都心で働いており、ベッドタウンとしても有名です。人口も20万人に迫る勢いを見せており、「家族で住むのに適した土地で暮らしたい」「都心の近くで広い家に住みたい」という方に最適な地域といえます。
交通の中心は西武線、市内を横断する青梅街道
注文住宅を建てるのに適した土地柄の西東京市ですが、交通面も非常に便利です。鉄道関連では西武新宿線と西武池袋線の2線が通っており、主要ターミナル駅も直通。急行電車ならば、市内のどの駅からでも新宿や池袋まで25分で移動できます。また、吉祥寺にも乗り換え1つで行けるなど、都心部や人気の街にもアクセスしやすい立地です。
【西東京市の主要駅へのアクセスの最速時間】 | |
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西武新宿線 | 西武池袋線 |
東伏見駅(西武新宿駅まで24分) | ひばりヶ丘駅(池袋駅まで15分) |
西武柳沢駅(西武新宿駅まで21分) | 保谷駅(池袋駅まで16分) |
田無駅(西武新宿駅まで20分) |
交通の便のよさは鉄道だけではありません。市内には青梅街道、所沢街道、五日市街道など主要道路も通っており、車を利用されている方によっても非常に便利な環境であるといえます。西に向かえば高尾や多摩などの自然の多いエリアに、東へ向かえば23区の都心部に移動しやすく、休日には各地へのドライブもお楽しみいただけます。また、コミュニティバス「はなバス」を筆頭に西武系列などの複数のバスも運行していますので、自家用車をお持ちでない方も安心です。
自然豊かで子どもが伸び伸びと育つ環境
立地や交通において非常に便利な西東京市ですが、「自然環境」が豊かな点についても触れておく必要があるでしょう。
豊かな自然が多く存在し、小さなお子様のいる家庭にとって理想的な住環境です。
市内には、上流が井頭公園から存在する新川(白子川)や市内を横断する石神井川といった河川が存在します。
川沿いの歩道は桜や新緑など、散歩をしながら季節ごとに移り変わる景色を楽しめます。
また、公園や自然に触れあえる施設も充実。
西東京いこいの森公園 や西原自然公園 、東大農場 など休日にのんびり過ごせる場所も多数が各所にあります。
かつての青梅街道の宿場町だったこともあり、近年パワースポットとして名高い田無神社 や東伏見稲荷神社 といった寺社仏閣の境内林も点在。
多くの緑のスポットが残されています。
そして、環境のよさは教育面でも注目を浴びています。
早稲田大学東伏見キャンパス や武蔵野大学 などが存在し、多くの学生が青春時代を過ごす“学びの場”でもあるのです。
このように西東京市は住み心地のよい環境が整備されています。
注文住宅を建てる場所でお悩みの方は、西東京もリストに加えてみてはいかがでしょうか?

豊かな水環境が暮らしに潤いを与える東久留米市
西東京市や埼玉の清瀬市と隣接する東久留米は、市西端の小平霊園を水源とする黒目川、市中心部を水源とする落合川が市の東西に流れており、豊かな湧き水が見られるなど水環境に恵まれています。
貴重な水源を守るためにも地域住民や行政関係者を中心に水環境保全への取り組みを強化。そうした努力が結実し、平成20年6月には、「落合川と南沢湧水群」が環境省による「平成の名水百選」に都内で唯一選定されました。きれいな水質と清らかな流れは、子どもにとっても絶好の遊び場であり、多くの住民の憩いの空間を提供しています。
緩やかな時間が流れる都心のベッドタウン
家族層を中心に多くの住民が暮らす東久留米市は、昼間の人口よりも夜間の人口の方が多く、東京のベッドタウンとしても名を馳せています。
西武池袋線を利用すれば東久留米駅から池袋駅まで30分弱で行けることもあり、東京都23区への通勤率は33.2%と高い数値を誇ります。
鉄道の駅は東久留米駅だけであり、当然市内の交通網の拠点です。
東久留米駅は絶景が見える名所としても有名で、富士山専用の展望台「富士見テラス」があります。
特に冬の乾燥した季節なら、富士山の美しい姿が眺望できます。「関東の富士見百景」にも選定されており、富士山を見るためにこの地を訪れる人もいるほどです。
市内の各地域に目を向けると、ひばりが丘・東久留米・八幡・滝山・久留米西団地など大規模団地の存在が目立ちます。
豊かな自然環境と暮らしやすい土地柄から、この地に長く住んでいる方も多く、高齢人口が高いことも東久留米市の特徴です。
多摩26市でもトップクラスの高齢化率を保持しているのも、高齢の方も生活しやすい地域であるということの裏付けであるといえます。
全国に名を轟かせる東久留米総合高校サッカー部
上記でも紹介してきたように東久留米市は、東京のベッドタウンであり、家族で暮らしやすい環境が整っています。
子どもの健やかな成長を見守るという意味では、学校などの子どもの学びの場にも目を向ける必要があります。
市内でもっとも有名なのは東久留米総合高校のサッカー部が挙げられます。
都立校としては駒場高校と並び、都内屈指の強豪校です。
“校技サッカー”を掲げているボールを蹴ることに恵まれた環境が有名であり、都立校で唯一の人工芝のグラウンドを保持しています。
前身の久留米高校時代から3回の全国大会出場経験があるなど、東久留米市の名を全国に轟かせている存在です。地域で暮らすサッカー少年にとっては東久留米総合高校のサッカー部は、間違いなく憧れの存在といえるでしょう。
都内でも屈指の水環境を誇り、ベットタウンとしての住環境が整い、市内のアイコンとなる東久留米総合高校のサッカー部の存在――それらの要素が絡み合い、現在の東久留米市を構成しています。
今後さらなる特徴を見出すことができれば、街の魅力はより大きく開花していくことでしょう。

西東京市・東久留米市のそれぞれの子育て事情
西東京市と東久留米市では、恵まれた環境にプラスして行政の子育てへの取り組みも盛んな地域です。子育てを行ううえで支援であったり、制度であったり行政のサポート体制は必要不可欠な要素なだけに、両市の主な取り組みについてもチェックしておきましょう。
子育てサークルの立ち上げを支援する東久留米市
東久留米市では、お子様を持つ家庭を総合的に支援するために「子ども家庭支援センター」を設置しています。育児を行ううえでの不安の相談はもちろん、お子様自身の悩みにも親身になって対応。地域の子育て支援活動を推進しています。
中でも地域の子育てサークル、サロンの立ち上げの支援に関しては非常に手厚い対応を行っています。小さなお子様を持つママ友同士のサークル活動を行う際の会場探し、参加者の募集、地域の支援者探しなどを積極的にサポート。「一人で子育てするのが不安」というお母さんにとっては心強い行政サービスといえます。
公立保育園を開放し、地域の子育てを支援する西東京市
西東京市では、市内5ヶ所の公立保育園内(ひがし保育園・けやき保育園・なかまち保育園・やぎさわ保育園・すみよし保育園)に「地域子育て支援センター」を開設しています。就学前のお子様とその家族やまだお子様のいない夫婦の参加もOKと幅広い対象設定が特徴。地域の親子に園庭を開放するほか、施設内の一室に親子で遊べる部屋を設置しています。
また、「保育園体験」「離乳食講習会」などの勉強会や栄養士・看護師・保育士といった専門家に話を直接聞ける子育て相談、子育て講座といった支援を実施。「夏祭り」「焼きいも作り」などの多くのご家族で楽しめる行事ごとも充実しています。

つながる地域行政の連携“多摩六都”とは
西東京市と東久留米市は行政の枠を越えたつながりがある点も特徴の一つです。2つの市に加え、小平市、東村山市、清瀬市と連携することで「多摩北部都市広域行政圏協議会」を形成しています。
多摩北部都市広域行政圏協議会とは、上記の5市で広域行政圏を形成し、文化事業や図書館の相互利用などのサービスを提供する取り組みのことです。多摩北部都市広域行政圏協議会は地元の方を中心に「多摩六都(たまろくと)」という愛称で親しまれています。それは、西東京市が旧田無市と旧保谷市の時代に6市で構成されていたことに由来しており、西東京市に統合されてもなお、変わらず多摩六都というネーミングが使用されています。
多摩六都では自然体験型のイベント、スポーツ大会、美術展覧会、オーケストラ演奏会などを合同で行っており、地域に住む子どもたちにとっても“学び”や“遊び”の機会が盛りだくさんです。地域のつながりと充実の支援体制を誇る西東京市と東久留米市――注文住宅を建てるなら、この地を選んでみたらいかがでしょうか?
Photo credit: atk1983 via Visual hunt / CC BY